俳句のページ

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俳句鑑賞

ここで取り上げている句は２０２５年９月の朝日俳壇の入選句です。

鑑賞句は私の好みであげた句ですから、新聞紙上での上位入選句とは限りません。

選者は４人おられますので、毎月掲載の順を変えています。作者ごとの作品の掲載順番は発表された順にしています。

このページは１か月ごとに更新することにしています。

大串　　章　選

　　熱帯魚ガラスの中の平和かな　　　　　久留米市　塚本　恭子

　(気持ちよさそうに泳いでいる熱帯魚も、狭い水槽の中では、いつか飽きが来てしまうだろう。「鯛やきくん」は店のおじさんと喧嘩して海に逃げ込みましたが…)

　　三猿に終はるべからず敗戦忌　　　　　　京都市　室　達朗

　　(そのとおり。とはいうものの簡単ではありません。いちばん怖いのは、戦争を知らない政治家ばかりになったことです。)

　　この星に生きるほかなし秋暑し　　　　　長野市　縣　展子

　　(暑い地球を逃れて、ロケットで地球を飛び出してみたらどうだろう？青い地球を見ているとかなり涼しそうですが、狭い機内はあまり快適とは言えないようにも。)

長谷川　櫂　選

　　これ以上落とせぬ腰や阿波(あわ)踊(おどり)　　　　　相模原市　志村　宗明

　　(男踊りの上手は、確かに腰を落として踊っています。ひと踊りでスクワット何回分に匹敵するのかな？一度、ロシアのコサックダンスとの競演を見たいものです。)

　　一言に二言返す生身魂　　　　　　　　　野田市　塩野谷　慎吾

　　(年寄りの鑑ですな。手足は多少よろけても、口が達者であればよろしい。若い者に舐められたらいかん。)

　　大きくて小ぶりを選ぶ秋刀魚(さんま)かな　　　　福岡市　満重　勇二

　　(そうそう、これが年寄りの知恵というものです。欲をして大きな秋刀魚を買って帰ったところが、家中を臭いだらけにして、結局、生焼けということになります。)

高山　れおな　選

　　昼目覚めまだ入院中と気付く　　　　　　玉野市　北村　和枝

　　(昼寝でも熟睡をすると、しばらくは現実に戻れないことがあります。入院中であっても、楽しい夢でも見ていたのならいいですけどね。)

　　新涼のスポーツ刈りにしてみたよ　　　　本庄市　篠原　伸允

　　(夏はやっぱりスポーツ刈りがいいですな。前髪を手で分けないと、前がよく見えない、なんて、うっとうしいかぎり。)

　　夜学にも移らずやめてゆきしかな　　　　大阪市　今井　文雄

　　(遠い昔のことであっても、ふと、思い出して、気にかかる友達がいるものです。高校の頃、月謝の滞納で毎回呼ばれる人が３人決まっていました。私もその一人。)

小林　貴子　選

　　４匹に友の名つけて金魚飼ふ　　　　　　　松山市　正岡　唯真

　　(出目金、ランチュウ、獅子頭、あと・・・そんなことしてもいいのですか？大喧嘩になりますよ。)

　　くづし字のやうに上手の踊り過ぐ　　　　　宮津市　高橋　智子

　　(上手を極めると、このように腰も落とさず最小限の振りで、見る人をうならせる踊りができるようになります。何というか切れがいいのですね。)

　　心なしか弾んで見える稲刈機(いねかりき)　　　　　　　長岡市　柳村　光寛

　　(今年の新米は最初から高値ですね。長岡市と言えば新潟コシヒカリですか。稲刈機も袋を数えながらウハウハなんでしょう。)