俳句のページ

俳句のページ

俳句鑑賞

ここで取り上げている句は、２０２４年１2月の朝日俳壇の入選句です。
鑑賞句はわたしの好みで選んだ句ですから、新聞紙上での上位入選の句とは限りません。
選者は４人おられますので、毎月掲載の順番を替えています。作者ごとの作品の掲載順番は発表された順にしています。

このページは１か月ごとに更新することにしています。

　　　小林　貴子　選　

冬来ると聞けば小さき闘争心　　　　　松戸市　橘　　玲子

(いまは朝起きるだけでも勇猛心が必要だからですね。わかりますよ。この気持ち。)

欠けてゆく記憶のかたちラフランス　　広島市　金田　美羽

(ラフランスなるものも食べてはみましたが、熟成させることが必要なんですって。そこでもう1度買って食べ直し。味が全然違いましたね。)　

にんげんに初めて触るる落葉(おちば)かな　　春日部市　池田　桐人

(これは、わかりやすく言うと相対性原理ですか。向こうの立場からするとこうなります。)

長谷川　櫂　選

　　霜の夜は星の匂ひが充満す　　　　　　富里市　遠藤　美津子

　　(星の匂いがするなんて、誰にでも言ってよいことではありません。場合によっては病院に行こうなんていうことにもなりかねない。でも、詩人には許される。)

雑踏に心落ち着く十二月　　　　　　　境港市　大谷　和三

(雑踏の中の孤独感ですか。妙な安心感があります。でも、財布には気を付けて。)

　　着ぶくれてミニスカートを一瞥(いちべつ)す　　　飯塚市　讃岐　　陽

　　(いますねえ。十二月のミニスカート。それも、当方老眼の所為か素足のように見えます。一瞥では、そこのところは、はっきりしないでしょうね。)

高山　れおな　選

　　天然と看板掲げ鯛(たい)焼(やき)屋(や)　　　　　　　那珂川市　松川　八智代

　　(鯛も６,７日熟成させた方がおいしくなると言いますが、私は新鮮第一。こりこり歯ごたえがある方が好きです。が、鯛焼きとなると？？？)

あの子って私のことか霜の道　　　　　成田市　かとうゆみ　

(私のように、耳が遠くなると悪口も都合の悪いことも、なかなか聞こえません。でも耳がよいと悪口に限って聞こえてくるのですよね。)

　　雲海の中は静かな霧の街　　　　　　　秩父市　浅賀　信太郎

　　(私の場合は九州の湯布院でした。同じような情景を思い出しています。)

　　　　大串　　章　選

　　湯豆腐や憂き世のなかのひと揺らぎ　長崎市　下道　信雄　　

　　(悠久の宇宙にあっては、人の一生なんて炎の一揺らぎ。この御仁、だいぶん効けてますね。そのうち鼻歌が・・・)

　　老境は光る枯野を行く如し　　　　　　高松市　信里　由美子

　　(人生枯れても、その中の光や美しいものを見つけて生きていきましょう。結構新しく見えてくるものもありますから。)

　　返り花戦争知らぬ古希と喜寿　　　　　対馬市　神宮　斉之

　　(えっ。そうなんですね。で、われわれが戦争反対なんて言ってると、耄碌あつかいされかねないな。)